井戸垣産業株式会社 様

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井戸垣産業株式会社 様

全社をあげてクレドに取り組んだことで、社員全員に「このままではいけない」という認識と、 共通の目標に向けて前向きな行動が感じられようになりました。

事業内容

建装事業、インテリア事業、リフォーム業

資本金

1,500万円

従業員数

19名(取材時)

所在地

鳥取県倉吉市堺町3丁目57-1

CREDO – 私たちの信条 –

私たちは、より良い空間造りのお手伝いを通じて、お客様の夢を叶え、幸せの和を広げることを使命とします。

私たちは、職人の経験と豊富な知識を生かし、理想への案内人となり、困ったことは素早く解決し、より良い生活空間を実現することをお約束します。

私たちは、みんなの思いをかたちにし、鳥取県で一番「うれしい」「ありがとう」と言われるリフォーム会社をめざします。

(2012年3月 完成)


鳥取県倉吉市・鳥取市を中心に住宅リフォームや店舗改装、エクステリア工事などを 主な事業とする井戸垣産業。
その代表である井戸垣さんにクレド導入についてお話を伺いました。

―まずは井戸垣社長。井戸垣産業株式会社の歴史と事業を紹介して下さい。

当社は、米屋として明治10年に創業しました。その後、今の本社となる倉吉に製麦の工場を建設したのですが、時代の流れ とともに麦の需要が減った為、工場の横で建材の販売や内装工事の会社をスタートしました。ちょうど50年前のことです

倉吉では初となる新建材を取り扱う会社でした。その後、下請け中心に事業を展開していたのですが、紆余曲折を経て、平成元年に、お客様との直接のやり取りを中心としていくため、もともとやっていたインテリアのお店の展開方法を再思案。新たな取り組みとしてリフォーム業を開始し、6~7年前からは元請中心(リフォーム業)の会社になりました。

当社のテーマは「喜びの溢れる家(空間)を創る」こと。例えば、家族が会話をして楽しく食卓を囲んだり、家族の心豊かな営みなど、一家団欒の空間を提供していくことを目指しています。

『井戸垣産業に行くと、いつも新しいものがあって、楽しい空間がある。』
ライフスタイルのすべてのシーンでそういった楽しみを提案していける会社を目指して、お客様の“喜び”を“かたち”にしています。

本社・ホームデコ倉吉店

メーカー各社の最新カタログを自由にご覧頂けるショールーム

ホームデコ鳥取店

1. 導入前

社員が主体となって進んでいくクレドミーティング。
体験セミナーに参加して「これはいいんじゃないか」と率直に思いました。
社員が自発的にクリエイティブな提案をしていける会社になっていくために

井戸垣社長

―井戸垣社長は、どのようなきっかけで「クレドミーティング」を知りましたか。

昨年の11月に米子で「クレドミーティング体験セミナー」が開催されるのを、知人の紹介で知ったのがきっかけです。

―クレドについて予備知識はありましたか。

知人の経営者が自社で作成したクレドカードを持っていたので、「へぇ」と思う程度に知っていました。その後、リッツカールトンのクレドの話を耳にして、そういったものが当社にも必要かな・・。と考え、体験セミナーに参加することにしました。

―クレドの必要性を感じられた背景とクレドミーティングに参加された理由について教えて下さい。

昨年、震災がおこって伸び悩んだ部分もあるのですが、当社も創業50年を迎え、「創造性」という部分が社員に欠落してきているなと感じていた時期でした。社員にはお客様にクリエイティブに色々なご提案をして欲しいという思いがありましたが上手く伝わらず、数字ばかり追いかけてしまっているような状況でしたね。お客様に頼まれたものだけを提供するのではなく、これからは社員が自発的に「お客様の為に何が出来るか」を考え、プラスαの提案をしていける会社にならないと伸びていかないなと痛感していました。

このことに関しては、昨年、家内とも話し合い、「会社に経営理念くらい貼っていないと駄目なんじゃないか」という話をしていたんですが、結局貼らずじまいで終わってましたね・・。貼っただけではいまいちピンとこないというか、効果はないだろうなと感じていたからです。

どうしたら社員が自発的に、クリエイティブに仕事に取り組んでくれるのかと考えている最中に「クレドミーティン グ体験セミナー」を知りました。クレドについて少し知っていたこともあり、「ちょっと米子まで行ってみようかな。」 という感覚でセミナーに参加しました。

〔経営理念〕
人間性と文化をテーマにより良い生活を創造する

どうしたら社員が自発的に、クリエイティブに仕事に取り組んでくれるのかと考えている最中に「クレドミーティング体験セミナー」を知りました。クレドについて少し知っていたこともあり、「ちょっと米子まで行ってみようかな。」という感覚でセミナーに参加しました。

―「クリエイティブなご提案、プラスαのご提案」とは具体的にどのようなご提案のことですか。

例えば、リフォーム工事でお客様がお風呂を換えたいと相談にいらっしゃった時に、お客様も心の中では“いいもの” が欲しいと思っているのに、質よりも価格を気にされて「安い方がいい」と仰られる方がいるんですね。そういったお客様に対して、今までは単純に安いものだけの提案をする傾向がありました。

しかし、当社のテーマは「安らぎの空間を創ること」です。お客様も今の現状よりも良いものであったり、安らぎの空間を創りたいと思っているからこそ、費用をかけてリフォームしようとご相談にいらっしゃると思うんですね。だからこそ、お客様により一層喜んでいただけるオンリーワンのサービス・ご提案をしていく必要がありますし、具体的にプラスαの提案をしていかないと会社の売り上げも伸びていかないと考えていました。

確かに予算についてはデリケートな部分ですから、お客様も気にされると思いますし怖い部分があると思います。リフォームの相談をされる際に、「浴槽の交換だけでいい」と一部の工事だけをご希望される方がいらっしゃるのも事実です。そういったお客様に対して、浴槽のご提案をするだけでなく、例えばプラスαとして「システムバスにしませんか?バリアフリーになって、暖かさが持続するお風呂になって・・・・」というご提案をしたとします。すると最初は、値段のことを気にされて「いいです。浴槽だけで・・・。」と答える方が多いんですが、「なるべくリーズナブルでよいものを提供しますから、今後のより良い生活のために一緒に考えてみませんか?」と投げかけてみると、お客様も興味を持たれて提案に耳を傾けてくださるんです。結果的に「やっぱり、そっちにしようかしら」とおっしゃって下さる方も多々おられます。そして、そういった取り組みがお客様の更なる満足や喜びに繋がる・・・。

そのことを社員に言葉で何回伝えても、わかっているようでわかっていないというか、お客様の心の中の願望をしっかりと聴き取れずに数字だけに追われている現状から抜け出せずにいました。

―その問題を解決する為に、何か取り組んでいたことはありますか。

グループ会社さんと事例発表会の開催(毎月開催)をしたり、コーチングに挑戦したこともありました。

―1つ目の「事例発表会」の内容と効果について詳しくご説明下さい。

事例発表会では施工事例の発表をしていました。ビフォー、アフターを提示して、「こういうのがこうなりました。」とか、「こういう点に気をつけて取り組みました」「こういう案件に対してこういう提案を行いました」と説明し、それに対して、他の社員が質問を行い、お互いに情報を共有するというような内容です。

発表を聞いた直後はとても刺激があり、他の人(グループ会社の社員)がクリエイティブなことをしているのを見たり聞いたりすると「負けてられない!」 と思ってくれるので、「これは効果あるんじゃないか」と思ったんですが、1週間から10日程経つと意識が薄れてきて、また元通りになってしまうというか。刺激はありましたが、効果は持続しませんでしたね。意識だけ高まり、その後具体的な行動として「何をしていけばいいのか」「これから何をしていくか」が明確でなかったからだと思います。

―2つ目の「コーチングに挑戦」についてご説明下さい。

コーチングについては、当社営業スタッフを外部の研修に参加させましたが、ミスマッチでした。「そういう考え方もあるのか・・・。」という感じで次に繋がることもなく、何となく終わってしまいましたね。

「言って聞かせる」ことより、社員自ら問題解決に向けて考えることが「行動する」ことへの鍵だと感じました

―クレドミーティング体験セミナーに参加された感想についてお聞かせ下さい。

体験セミナーに参加する前に、会社が目指している方向性は正しいと思っているにもかかわらず、社員が向かっていく方向がずれていくのは「何でだろう?」とずっと思っていました。その度に、「こうしたらこうなる」といったストーリーを示したり、「このように提案したらいいのではないか」と指示をしていました。すると、社員は「そうですね。」とは言ってくれるのですが、 その後の行動や結果は私が意図するものと全く違う方向に進んでいて・・・。この繰り返しでした。

「どうしたもんかな」と頭を抱えていたときに、体験セミナーに参加し、選択理論心理学()をベースにした話、特に「人は 人を変えられない」という話を聞いて、ハッとするものがありました。

楢村社長

他人を変えようとしても変えられないのに、「自分と同じことをしていればできる」という話を前提に、これまで自分が主体となって社員に言って聞かせることに注力していたことに 気が付いたんです。

選択理論心理学‥‥ アメリカの精神科医ウィリアム・グラッサー博士が提唱によって提唱された、脳の働きを土台として”人はなぜどのように 行動するか”を説明した心理学。 より良い人間関係を築く方法として高い評価を得て、カウンセリング、学校教育、組織構築、家庭など様々な分野で用いら れている。発表以来約40年間経ち、世界各国で拡がっている。

その点、クレドミーティングでは、社員が主体となって話が進んでいくので、「これはいいんじゃないか」と思いました 。人はよくしゃべった方が身につくという話もききますので。
講義のように受身でばかりいると疲れますし、お互いに意見を出し合ったり、話をしたりすると時間が経つのも早いですしね。

―そのままクレドの導入を決められたのですか。

そうですね。「よし!やってみよう!」という感覚でした。

―クレドを導入する前に不安などはありませんでしたか。

あまり深く思い悩んだことはなかったですが・・・。
1つ挙げるとしたら、以前、コンサルティングの方を入れたことがあったのですが、その時はいまひとつ上手くいかなかったと いうことがありましたね。

―コンサルティングはどのように上手くいかなかったのでしょうか。

コンサルティングを入れたのは、会社が下請けから元請けに変わる仕組みづくりの時でした。社員向けに趣旨を説明して もらったら、社員が「じゃぁ、それに向けて取り組んでいこうか」という流れになるのかなと思っていたら、思いの外、なかなか浸透しなかった…ということがありました。

会議の仕方とか、目標管理をしましょうとか、数字を見てやっていきましょうという話合いを何回かしたんですが、話を聞いている社員が「計画立てろと言ったって、実際に取り組んでみてからじゃないと結果がわからないしな」「年間計画を立てろと言われても、じゃあ、具体的にどうやればいいの。」という雰囲気になってしまって・・。
その繰り返しでなかなか前に進まず、物事を進めていくのは難しいんだなと実感しましたね。

“クレドを作成して終わり”ではなく、その後も繰り返し行われるミーティングが最大の決め手に

―最終的に何が決め手となってクレドミーティングの導入を決意されましたか。

実は、今回も今までと同じことになってしまったらどうしようか。と考えたことはありました。最終的な決め手となったのは、“クレドカードを作って終わり”ではなく、クレドを作成した後、毎月繰り返し「ミーティング」を行うところですね。 ミーティングでクレド浸透の進行度合い(どれくらい出来ているか)を確認したり、足りない部分については施策を考えたりするところが“みそ”だと思いました。
また、社員が自分達の力でミーティングを出来るようになるまで、ファシリテーターのフォローがあるという点も大きかったですね。

2. 導入・作成中

社員が部署間を越えて、同じテーマや課題について話し合う機会を持てたのは非常に良かったと感じています。

― 「クレド作成ミーティング」はどのような日程で行いましたか。

「クレド作成ミーティング」は次の日程で行いました。

クレド導入前事前研修
2012年1月6日(金)
午前9時~午後6時

●モチベーションとは何か
・人間関係と職場のモチベーション
●私たちの行動を駆り立てる究極要因
●アクティビティー(体験ゲーム)
●私たちの「やる気」の直接要因
●クレドミーティングに向けて

1日目
2012年1月21日(土)
午前9時~午後6時

●オリエンテーション
・円滑に話し合いを進めるためのルール
●クレドとは ~事例研究~
●クレドの明文化
・「使命」「事業価値」「ビジョン」をグループ別に作成・発表

2日目
2012年2月7日(火)
午前9時~午後6時

●(前回の続き)クレドの検討、決定
●クレドベーシックの事例研究
●クレドベーシック作成
・個人ワーク
・グループで決定・討議(事前に司会、時間管理、議事録係を決定)
・グループごとに発表
 ・全員で行動内容の検討・吟味・修正

3日目
2012年2月21日(火)
午前9時~午後6時

●クレドベーシック作成(前回の続き)
・各グループで進め方の確認
・課題の共有、要因の分析、アイディアだし
・ベーシックの修正(再検討)
・クレドベーシックの発表・検討・吟味・修正

4日目
2012年3月6日(火)
午前9時~午後9時

●クレドベーシック最終検討・完成
●今後のスケジュールについて
●クレドスタートの為の準備事項や達成基準(一部)の話し合い

クレドミーティング1日目 ~クレド(信条)の作成風景~

まずは、話し合いの進め方、クレドとは何かなどの事例研究、クレドの作成手順などの説明からスタート。 各回毎に、ゴール(全員が向いていく方向性)の確認を行う。

『事業価値』『使命』『ビジョン』をチームにわかれて話し合い。ここから考え、じっくり話し合う作業(ディスカッション) が始まる。頭を使う作業が続くので甘いものは必須!

全体発表風景。発表後、質疑応答を社員同士で行い、チームごとの考えを全員で共有。 クレドをより明確にしていくために修正ポイントを思案。

クレドミーティング2日目・3日目・4日目(前半) ~クレドベーシック(行動指針)の作成風景~

まずは個人の考えをポストイットに書き出し、チーム内で共有。意見が固まってきたら、大きいサイズの用紙に書き出し、再確認。
【宣言】【目的】【手段】()を話し合い、一つの答えを導き出す。

発表中、すぐに修正できる点は全員で考え明確化→赤字で明記。

※【宣言】【目的】【手段】 ・・・・ クレドベーシック文章の構成要素
「何の為にどのようなことを行うのか。」初めてクレドに目を通した人でも、何をすればいいかすぐ分かる内容であることが重要。
今できていないことで、頑張ればできる行動(高度すぎるのはNG)を考えるのが大切。

クレドミーティング4日目(後半) ~今後のスケジュール、クレド浸透に向けての話し合い~

○今後のスケジュール
・キックオフミーティングの進め方について
・クレド推進委員会のメンバー選出

○クレド実行の為の準備事項や達成基準(一部)の確認

クレドミーティングがきっかけとなって社内のコミュニケーションが円滑化

―クレド作成をご覧になられていかがでしたか。

最初のころは、皆も「どんなことをしていくんだろう?」という感じでスタートしたと思います。
クレドミーティングが始まってみて意外だと感じたのは、「この人はこういう感じの人なんだな」と思っていた社員の新たな一面が見えたり、同じテーマについて考えていても人によって捉え方が違ったり・・・。性格がよくわかるというか、その人の想いや本質が見えてくるミーティングだなと思いました。

後で社員に聞いてみると、話しづらかった人と話が出来るようになったり、コミュニケーションが円滑になったと言っていました。

―クレドミーティングを通じてコミュニケーションが円滑になったのは、クレドミーティングのどの部分がポイントになったのでしょうか。

部署間を越えて話し合いが出来たことですね。今までは、営業部と工事部の社員同士が伝達事項(業務内容) だけをやり取りするという感じだったんですが、クレドミーティングを通じて、同じテーマや課題について話し合ったり、他の話題について話したりする機会が得られたのが良かったと思います。

私自身も、営業部の社員とは話す機会がよくあるんですが、工事部の社員は話す機会がなかなかありませんでした。特に工事部の社員は自分から自発的に話さないタイプの人が多かったので、この機会に社員と話しをしたら「ああ、なるほど!そういう風に考えていたのか!」という気付きや発見がありました。社員同士もそういう発見や気付きがあって、お互いの意思疎通や理解を深めたのだと思います。

―その他に変化はありましたか?

そうですね。細かいことに気がつくようになってきていますね。今まで出来ていなかったことに目を向けるようになったというか、見過ごしていたことに気付いてきちんと行動に移してくれるようになりました。

例えば、掃除の際にまだまだ掃除が出来ていない箇所に気付いたり、「報告する」といっていたのに、していなかったことに素早く気付いてすぐに報告したり。という感じです。小さなことでもできていなかったことが少しずつ改善されていっているのは、大切なことだと思います。

3. 完成・導入後

全社をあげて取り組んだことで、社員全員にこのままではいけないという認識ができたのが良かった。変わるための第一歩です!
クレドが完成して

―出来上がったクレドをみてどのように感じられましたか。

最初は、「文章がちょっと長いな。」と思いました(笑)。でも、裏を返すと「よくここまで細かく考えたな。」とも思い、感心もしました。

―クレドで特にここがポイントだと思われる項目はありますか。

ベーシック6番の報連相に関する項目では、「報告」「連絡」「相談」についてそれぞれの項目ごとにどのようなことをするのか具体的に書いているのがいいと思います。特に「連絡」の部分の「悪いところ(お客様へのデメリット)も伝える」というところはポイントだと思います。後はベーシック11番の清掃に関する項目では、「毎日10分間清掃を行います。」という文章は具体的でわかりやすいので、面白いなぁと思いましたね。

会社の変化と、育成への取り組みで迷っている経営者の方へのアドバイス

―クレドミーティングを導入して、会社が変わったと感じることはありますか。

そうですね。一つは電話の応対に変化がありました。電話を取る際の声が少し大きくなりましたね。伝言の際にメモも増えました。言葉だけではなく、メモも一緒にわたすことで、相手が忙しい時でもより分かりやすく端的に伝えることができています。

それから、以前に増して「すぐに連絡をとろう!」という意識と、その意識がすぐに行動に移るようになりました。お客様から連絡があったときには、第一優先で「すぐ、連絡取らなきゃ!」という感じです。担当者に連絡がつかない時は、連絡がとれるまで試みたり。以前はもう少し、のんびりした節があったので、かわったなと思いますね。

もう一つは朝礼にも変化がありました。朝礼ではクレドを唱和して、できているかどうかのチェックがあるので、社員が自分の行動を意識する機会が増えたと感じます。

―導入前に井戸垣社長が課題に感じていたことに変化は見られましたか。

そのことについてはまだ具体的な行動にはなっていませんが、クレドの「事業価値」(サービス・商品を通じてお客様に提供したい価値)で、しっかり言及してくれています。

事業価値・・・『私たちは、職人の経験と豊富な知識を生かし、理想への案内人となり、困ったことは素早く解決し、より良い生活空間を実現することをお約束します。』

全社をあげて取り組んだことで、社員全員に、このままではいけないという認識ができたのは良かったと思います。変わるための第一歩ですから。

―最後に育成への取り組みで迷っている経営者の方へ、アドバイスがあればお願い致します。

まずは、「今の現状で満足ですか?」というところですかね。「社員に自発的に行動してほしい」と悩んでおられるのだったら、クレドを作ってみてアクションを起こしてみてもいいんじゃないですかとお伝えしたいです。やってみないとわかりませんし、結果は後からついてきますからね。大切なのは、社員を信じる気持ちですね。


作成に関わった社員の方にも「クレドミーティング」について伺いました。
「クレドミーティング」が導入されて、良かったと思うこと

営業:門脇 幸男さん(クレド実行委員)

クレドは『社員全員で決定した指針』であるので、導入後は、業務において自主的に行動しようとした動きが見られているように 感じます。時に、行動指針から外れてしまうようなことが起きた場合でも、クレドは自分達で考え、決定した指針であるので、チェックしたり、評価するのが容易であるのが今までと変わった点ですね。

実は、一番初めにクレドを導入するという話を聞いた時は、「クレド=会社の行動指針」と定義されていることは理解できましたが、具体的に導入に際して自分達がどのように関わっていくのかが漠然としていてつかめなかった事に不安を感じていました。

しかし、実際にクレドミーティングが始まってみると、いきなり本論に入るのではなくて、導入前に事前学習があり、クレドがなぜ必要かという話と事例の話があったので、楽しく入ることができました。また、ディスカッションや体験型のゲームを通して、これからクレドを作成するにあたって、「自分中心に考えていては物事は上手くいかない。相手のことを考えた行動や言動を心がけたり、相手が上手くいくように協力をしていくことで、相手のモチベーションが上がったり、自分やチームとしても満足が出来る結果」に繋がることが理解できました。クレドミーティングに向けてモチベーションが上がり、積極的にとりかかれるきっかけになったので非常に良かったです。

クレドを作成する際に、【使命】【事業価値】【ビジョン】を各グループに分かれて、取りまとめる方法は、それぞれのチームが1つのテーマに集中して、深く考え、協議することができたと感じます。また、その内容を全体発表し、深堀をしながら質疑応答を重ねていくことにより、社員全員が内容を共有できました。自分達や会社のこれからの方針を決める核となる部分だったので、真剣に取り組め、時間の流れが速く感じられた初日でした。

2日目からはクレドベーシック作成に入り、会社向上のための大切な部分であるという認識と共に、より具現化した行動基準を作成する作業にかなり頭を使ったのを覚えています。

井戸垣らしさを考えながらの内容と共に、お客様の立場となり、分かりやすい表現、及び「井戸垣産業はそんなことまでやってくれるのか!」と安心・依頼して頂ける内容・文章にまとめていくのに苦戦しました。しかし、少しずつ、ベーシックが明確化されて、具体的な行動が見えてくると、全社員の意識が高まっていくのを感じました。

全体を振り返ると、クレド作成にあたり、最初は各人に温度差があったように思いますが、回を重ねるごとに皆が真剣に取り組み、大変良いものができたと感じています。自分達で作成したクレドが実現出来ていけば、「井戸垣産業は本当に良い会社ね」とお客様に信頼される会社になると思います。

クレドで決定したことは、今現在、社内掲示やホームぺージでも表示しています。自分達だけではなく顧客様や不特定の方に見てもらうことで、自身の業務に当たる姿勢や意識にも繋がっていますね。

今は、顧客様に喜んでいただくことを第一に考え、信頼感や安心を提供できるような行動をしていくことを心がけてクレドに取り組んでいます。

クレドを社内に掲示することで、 社員同士の意識向上に繋げています。


アドバイザー:宇山 由美子さん
(クレド実行委員)

社員みんなで協力して何かをするという機会が今までなかったので、クレドミーティングをきっかけとして、社員の意思統一を計ることが出来、少しずつ自分たちが向かっていく方向や目標が見えてきたと感じます。

正直、一番初めにクレドを導入するという話を聞いたときは、今までの自分には全く無縁のものでしたし、頭ごなしに難しい取 り組みだという印象がありました。

しかし、導入前の事前研修で、「一人ひとりが5%変われば、先を見れば随分良い方向へ進んでいく」という話を聞いて、ほんの少し、考え方を変えたり視点を変えるだけで、目標に近づけるなら、クレドを活用しない手はないなと感じるようになりました。また、クレドを難しく捉えるのではなく、少しずつでも良い方向に進んでいくための手段として、私たちにも出来るという意識を持ちました。

作成中は、社員みんなの想いが一つの方向性に向っていくことを願いながら取り組みました。普段使わない神経をたくさん使い、疲れることもありましたし、途中、表現の壁にぶつかる事もありました。「こんなことをしていこう」というイメージや伝えたい事は浮かんでも、いざそれを言葉にしようとするとなかなか具体的な言葉にならなかったり、誰が見ても分かりやすい文章を作成する難しさを改めて感じたりもしました。そんな時は、とりあえず自分なりの言葉を文字に書き出したり、伝えたい単語やキーワードを出しながら、グループの皆でつないで文章にしてクレドを作成しました。

クレドは、誰かに押し付けられた訳ではなく、社員皆で作成したので、一つ一つの言葉に責任感があります。クレドミーティングを通じて、今まで交流がなかった社員とも会話をするようになり、知らなかった性格や一面が見えてきました。共通の目標に向けて力を合わせていくという忘れていた気持ちも思い出しました。

クレドが完成した今は、月に一回のマンスリーミーティングで、クレドの実行度合いについて話し合い、出来ていない項目については「何故、できなかったのか」という原因を追究し、施策を考える作業をしています。今では、そういった取り組みを基にして、日々の自分の行動にも置き換えられるようになりました。例えば、失敗したときや指摘を受けた時に原因を見出すことで、問題を解決する近道を作れるようになりました。

クレド推進委員会の皆と。
クレドミーティングを通じて、今まで交流がなかったスタッフとも会話をするようになりました。

まだまだ始めたばかりで手探りしている状態ではありますが、その手探りがクレド(会社・社員の信条、理念)が根付いていく過程だと思います。やらされたのではなく、社員で協力して企業理念をつくる。だから続けられるのだと思います。

クレド導入前と導入後で会社が変わったこと、今後の抱負

導入前と導入後で大きく変わったのは「意識」ですね。電話の取り方一つでも、以前は「電話がなったからとる」という感覚 でした。今は「電話の向こう側の相手を意識」して言葉もはきはき、笑顔で声のトーンも上げて、相手が気持ちよく話が出来 る対応を心がけています。

現段階での取り組みは、施策を考えるのに時間を費やし、大変な労力もかかることもありますが、自分たちで作成したクレド ベーシックが普通に会社人として振舞えるようになっていけば素敵な事だと思っています。実行あるのみです!

―井戸垣産業の皆様、本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

[ *取材日:2012年6月 ]